※掲載内容は2018年5月現在の情報です。

港や空港などで、人やモノが国境を通過する際に必要な手続きや取り締まりを行うのが税関の仕事。私は海上貨物の輸入通関を担当しています。物品を輸出入する際は税関への申告が必要ですが、なかには輸出入自体が禁止されているものや、特別な手続きが必要なものもあります。また世の中に存在するあらゆるモノには世界共通の分類項目が定められており、種類や原産地などによって税率が細かく分かれているので、申請の内容は適正か、税率の計算は合っているかなどを、一つひとつ慎重に審査しなくてはなりません。少しでも疑問を感じた時は、実際に貨物を検査して確認します。非常に神経を使う仕事ですが、不正な密輸入を水際で阻止して安全な社会を守り、国の利益となる関税を公正に徴収し、円滑な貿易を支えるこの仕事に、日々誇りを持って取り組んでいます。

大学でフランス語を学ぼうと思ったのは、国際機関の公用語として使われている言語だったから。当時から漠然と、国際的な仕事に興味を持っていたように感じます。0から学ぶフランス語はとても刺激的で、授業はもちろん、空き時間や放課後も留学生をつかまえては会話を楽しみ、3年次には意気揚々とフランス長期留学に挑戦。しかしそこで挫折しました。あまりにレベルの高い授業で質問すらできない私に、現地の教員は「帰っていいよ」と一言。悔しくて、限界まで努力し続け、最終的には納得のいくレベルまで語学力を高められました。また各国の留学生から、多様な文化や価値観を認め合う楽しさを教わったのも大きかったです。彼らとの交流が、世界と日本の発展に貢献する仕事をめざすきっかけになり、留学で逆境を乗り越えた経験が、難関資格を突破する粘り強さの素地になりました。

税関にはさまざまな業務があり、実はその多くで語学力が求められます。私が今担当している輸入通関の書類はほとんどが英語ですし、その前に担当していた空港での旅具取締部門では、日々多くの外国人入国者と英語やフランス語で会話をするのが常でした。旅行者にとっては少し緊張する税関も、失礼のない言い回しで話しかけると協力的な姿勢を見せてくれますから、言葉の力は偉大です。また、税関では、アフリカやアジアなどから研修生を受け入れ、英語やフランス語を使い、日本の税関実務を他国に伝えるという「関税技術協力」にも力を入れており、私もいつか挑戦したいです。今後も税関の専門知識を深めるのはもちろん、外国語大学出身の自分にしかできない仕事をしていきたい。そのためにも英語とフランス語の勉強は欠かさず続けていきます。