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翻訳家

外国語学部 英米語学科 卒

辻本 淳也さん

※掲載内容は 2024 年 2 月現在の情報です。

辻本 淳也さん 辻本 淳也さん

医療裁判に欠かせない、「カルテの翻訳」という仕事。
語学力だけでなく、医療知識も日々磨きをかけています。

「医療翻訳なら辻本さん」と言われる存在をめざし、
信頼される翻訳資料の作成に力を注いでいます。

医療専門の翻訳家として活動しています。大学を卒業してからすぐに翻訳家としてさまざまな案件を受けていたのですが、親族から紹介を受け、医療翻訳の仕事を始めました。現在の日本の法律では、医療事故が原因となる裁判の場合、医療カルテを開示する必要があります。ところが、英語やドイツ語で書かれることも多く、そのままでは何が書いてあるのか理解できない状態がほとんどです。そのため、医師が書いたカルテを日本語に翻訳し、弁護士や裁判官が理解できる資料として整理することが、私の主な仕事です。これまでに翻訳したカルテは数千件にのぼり、毎日、全国各地からの依頼を受けています。医療・法律関係者だけでなく、患者さんの人生にもかかわる重要な仕事にやりがいを感じ、「医療翻訳なら、辻本さんにお願いしよう」と思ってもらえるよう、弁護士や医療関係者との信頼関係を築きながら経験を重ね、知識に磨きをかけています。

オーストラリアで出会った、人生を謳歌する大人たち。
日本の価値観に捉われない生き方を知りました。

グラミー賞の授賞式で、英語で流暢にスピーチをする坂本龍一氏の姿に憧れて、名古屋外大へ入学しました。名古屋外大には多くの外国人教員が在籍しているので、ポケットには常にノートとペンを入れておき、彼らと会話をしてわからないフレーズが出たらすかさずメモをとり、真似をしてみるという勉強法をひたすら実践して語学力を高めました。オーストラリアへの長期留学も経験したのですが、名古屋外大で日常的に英語を話し、異文化交流ができる環境で学んでいたため、海外生活でも動じない度胸が自然と身についていたと思います。留学をしたことで、語学力を向上させることができただけでなく、日本の価値観に捉われない生き方を知ることができました。オーストラリアでは、平日は真面目に働くビジネスマンも、休日は全力で海やプールでのレジャーを楽しむのが一般的。オン・オフを切り替えながら人生を謳歌する大人たちの姿を見て、「こんな風に自由に生きたい」と感じたことが、今の価値観の原点になっていると思います。

フリーランスの翻訳家だからできる、柔軟で自由な働き方。
松本市での生活を楽しみながら、翻訳業に励んでいます。

名古屋外大では、翻訳のほかにも同時通訳法を学びました。卒業後には外国人教員や外国人アーティストの授業でアシスタントとして通訳をする仕事もしていました。じっくりと表現方法や単語の選択を推敲していく翻訳業に比べて、通訳は瞬発的な表現力が必要な仕事です。どちらも言語に対するアプローチの仕方がまったく違うため、「外国語で発信されたものを日本語にする」という仕事の奥深さを感じています。現在は医療カルテだけでなく、製薬会社の臨床試験の論文を翻訳する仕事など、医療に関係する幅広い案件を引き受けています。フリーランスの翻訳家は、柔軟な働き方ができることも魅力で、数年前に長野県松本市に移住し、翻訳業の傍らで養蜂業にも挑戦しながら生活しています。松本市には外国人観光客も多く訪れるため、彼らと交流することも日々の楽しみのひとつです。今後も翻訳家としての研鑽を積みながら、愛する地域への恩返しができればと考えています。

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